社会サプライチェーン

取り組み方針

当社グループは、オフィスや住宅などの生活基盤を支える企業グループとして、より高い水準で社会的責任を果たしていく責務があると認識しています。その遂行のためにESG課題の解決に資するサステナブル調達の推進をサプライチェーン全体で取り組むべきであると考えています。その基本的な指針をまとめた「サステナブル調達基準」を策定し、2018年12月にホームページで公表するとともに、主要取引先に対して通知しています。2022年2月には人権デューデリジェンスの実施に向け「サステナブル調達基準」を改訂し、発注に携わる当社グループと取引先の双方が遵守すべき事項、または積極的に推進すべき事項として、1.法令等の遵守、2.事業活動における人権尊重、3.労働に係る人権尊重、4.安全で健康的な労働環境、5.企業倫理の確立、6.品質の確保、7.環境への配慮、8.情報セキュリティ、9.危機管理・事業継続計画における基本指針が盛り込まれています。またサステナブル調達の実践に向けた発注先・委託先への働きかけやモニタリングへの協力と是正措置等を発注先への「協力依頼事項」として併記したほか、社内・グループ内および発注先の理解促進のため別途調達基準内容の詳細な「解説書」を作成しました。当社グループで共有し、事業内容に沿った発注および契約プロセスを構築・運用するとともに、取引先に対してもさらなる周知、理解を求めていく考えです。持続可能な社会の実現に向け、サプライチェーン全体でサステナブル調達の推進に取り組んでいます。

三井不動産グループサステナブル調達基準

制定 2018年12月5日
改訂   2022年2月4日

1.法令等の遵守

企業は、自国および事業を行う国/地域の適用される法規制を遵守するのみならず、国際行動規範を尊重しなければなりません。

2.事業活動における人権尊重

企業は、人権に配慮した事業の推進を徹底するため、世界人権宣言などの人権に関する国際規範を参照し、外国人や先住民なども含めた様々な人々の人権に対する事業活動による負の影響を予め把握し、未然防止や改善などを行わなければなりません。

(2-1) 事業活動における不当な差別や人権侵害の禁止

企業は、事業活動において、不当な差別を行ったり、差別を助長したりする行為を行ってはなりません。また、事業活動が人権侵害をもたらしたり、人権侵害に加担したりすることのないよう、配慮しなければなりません。  

(2-2) 社会的弱者・少数者の権利の尊重

企業は、製品・サービスなどを提供するにあたり、社会的弱者や社会的少数者とされる人々の基本的なニーズが満たされるよう、配慮しなければなりません。

(2-3) ユニバーサル・デザイン

企業は、製品・サービスなどの提供に際し、あらゆる人々の利便性・快適性を確保できるよう、ユニバーサル・デザインや、個別の状況に応じたサービスの提供などに、努めなければなりません。

3.労働に係る人権尊重

企業は、関連法規制を遵守することのみならず、ILO中核的労働基準を含む国際的な人権基準を参照し、労働者の人権を尊重しなければなりません。

(3-1) 結社の自由、団体交渉権

企業は、現地の法規制を遵守したうえで、労働環境や賃金水準などの労使間協議を実現する手段としての従業員の団結権や団体交渉権を尊重しなければなりません。

(3-2) 強制労働の禁止

企業は、強制、拘束、非人道的な囚人労働、奴隷制または人身売買によって得られた労働力を用いることはできません。また、企業はすべての就業を強制することなく、従業員の離職や雇用を自ら終了する権利を守らなければなりません。

(3-3) 児童労働の禁止、若年労働者への配慮

企業は、最低就業年齢に満たない児童に労働をさせてはなりません。また、企業は、18歳未満の若年労働者を夜勤や残業などを含む、健康や安全が損なわれる可能性のある危険業務に従事させてはなりません。

(3-4) 雇用における差別の禁止

企業は、賃金、昇進、報酬、退職等のあらゆる雇用実務において、人種、国籍、民族、肌の色、年齢、性別、性的指向、性自認、宗教、信条、障害の有無、婚姻状況、妊娠、所属政党、組合への加入等に基づく不当な差別行為など、あらゆる不当な差別行為を行ってはなりません。

(3-5) 虐待およびハラスメントの禁止

企業は、労働者の人権を尊重し、精神的・肉体的な虐待、強制、ハラスメントなどの非人道的な扱い、ならびにそのような可能性のある行為を労働者に行ってはなりません。

(3-6) 適切な賃金と手当

企業は、従業員に支払われる報酬(最低賃金、残業代、および法的に義務付けられた手当や賃金控除を含む)や社会保障に、適用されるすべての法規制を遵守しなければなりません。

また、生活に必要なものを賄うことのできる水準の賃金(生活賃金)の支払いに配慮することが望まれます。

(3-7) 適切な労働時間、休日・休暇

企業は、労働者の働く地域の法規制上定められている限度を超えて労働させてはならず、国際的な基準を考慮した上で労働者の労働時間・休日を適切に管理するとともに、現地法令に定められた年次有給休暇を付与しなければなりません。

4.安全で健康的な労働環境

企業は、関連法規制を守るのみならず、労働者の安全と健康に関する国内外のガイドラインなどに留意し、業務に伴う怪我や心身の病気を最小限に抑え安全で健康的な労働環境を整える取り組みを行わなければなりません。

(4-1) 従業員の健康管理

企業は、すべての従業員に対し、適切な健康管理を行わなければなりません。

(4-2) 労働安全衛生

企業は、職務上の安全に対するリスクを特定・評価し、また適切な設計や技術・管理手段をもって安全を確保しなければなりません。

また、職場において、有害な生物的・化学的・物理的な影響に労働者が曝露するリスクを特定・評価し、適切な管理を行わなければなりません。

(4-3) 身体的負荷のかかる作業への配慮

企業は、身体的に負荷のかかる作業を特定・評価のうえ、労働災害・業務上疾病につながらないよう適切に管理しなければなりません。

(4-4) 機械装置の安全対策

企業は、労働者が業務上使用する機械装置について安全上のリスクがないか評価し、適切な安全対策を実施しなければなりません。

(4-5) 施設の安全衛生

企業は、労働者の生活のために提供される施設(寮・食堂・トイレ・休憩所など)の安全衛生を適切に確保しなければなりません。

また、寮では、緊急時の適切な非常口を確保しなければなりません。

(4-6) 労働災害・業務上疾病の発生時の対応

企業は、労働災害および業務上疾病の状況を記録・報告し、適切な対策および是正措置を講じなければなりません。

(4-7) コミュニケーションの推進

企業は、労働者が被る可能性のある職務上の様々な危険について、適切な安全衛生情報の教育・訓練を労働者の母国語または理解できる言語・方法で提供しなければなりません。

また、労働者から安全に関わる意見をフィードバックする仕組みがなければなりません。

5.企業倫理の確立

企業は、法令遵守のみならず、高い水準の倫理感に基づき事業活動を行わなければなりません。

(5-1) 贈収賄等の腐敗の防止

企業は、あらゆる種類の贈収賄、腐敗、恐喝、および横領などを行ってはなりません。また、賄賂その他の不当または不適切な利益を得る手段としての約束、申し出、許可を提供または容認してはなりません。

(5-2) 反社会的勢力との関係遮断

企業は、市民社会の秩序や安全に脅威を与える反社会的勢力および団体とは関係を遮断しなければなりません。

(5-3) 公正な事業活動の推進

企業は、公正かつ自由な競争を妨げる行為や不正競争行為などを行わず、公正な事業活動を推進しなければなりません。

(5-4) 優越的地位の濫用禁止

企業は、優越的地位を利用して、取引を自社に一方的に有利に決定し、取引先に不利益を与える行為を行ってはなりません。

(5-5) 知的財産権の保護

企業は、知的財産権を尊重し、技術やノウハウの移転は、知的財産が守られた形で行わなければなりません。また、顧客および取引先などの第三者の知的財産も保護しなければなりません。

(5-6) 適切な情報開示

企業は、適用される法規制だけでなく社会的規範や業界団体等の指針などに従って、自社の財務情報および非財務情報を適切に開示しなければなりません。記録の改ざんや虚偽の情報開示は容認されません。

(5-7) 苦情処理メカニズムの整備・通報者の保護

企業は、問題を調査し対応するための苦情処理メカニズムを整備し、従業員などが通報できるようにしなければなりません。また、通報に係る情報に関する機密性、ならびに通報者の匿名性を保護し、通報者に対する報復を排除しなければなりません。

(5-8) 原材料の責任ある調達

企業は、事業活動で使用する原材料について、違法な手段で生産されたもの(違法伐採木材や紛争鉱物を含む)を排除するとともに、再生材や認証材といった環境や社会に配慮して生産されたものを活用するよう努めなければなりません。

6.品質の確保

企業は、提供する製品やサービスの安全性ならびに品質の確保を行うとともに、その向上に努めなければなりません。

(6-1) 街づくりにおける安心・安全と健康への配慮

企業は、製品の設計・製造・販売にあたっては、各国の法令などで定める安全基準を満たすなど、十分な製品安全性を確保し、供給者としての責任を果たさなければなりません。

また、サービスの提供にあたっては、それを利用する人々や関係者の安全と健康に配慮した事業活動に努めなければなりません。

(6-2) 品質管理、品質保証

企業は、製品・サービスの品質に関して適用される、すべての法規制、自らの品質基準、顧客要求事項を遵守しなければなりません。また、顧客からのクレーム・苦情を受け付け適切に処理するための、体制を整備しなければなりません。

(6-3) 正確な製品・サービス情報の提供

企業は、顧客や消費者に対して、製品・サービスに関する正確で誤解を与えない情報を提供しなければなりません。虚偽の情報や改ざんされた情報を提供してはなりません。

7.環境への配慮

企業は、資源の枯渇や気候変動、環境汚染などの地球環境問題に積極的に取り組むとともに、関係する地域の人々の健康と安全の確保を考慮した地域の環境問題に配慮しなければなりません。

(7-1) 気候変動への対応

企業は、エネルギー効率改善や再生可能エネルギー利用などに努め、エネルギー消費量および温室効果ガス排出量の継続的削減活動に取り組まなければなりません。

(7-2) 資源の有効利用と廃棄物の管理・削減

企業は、法規制を遵守し、適切な管理を行わなければなりません。また、リデュース(削減)、リユース(再利用)、リサイクル(再資源化)を推進し、資源の有効活用を図り、廃棄物の発生を最低限に抑えなければなりません。

(7-3) 汚染防止・化学物質管理

企業は、関連する法規制を遵守し、有害な物質の大気・水域・土壌等への排出を削減するための適切な対策を実施しなければなりません。

また、有害な化学物質は、法規制を遵守し、特定、表示、安全な取り扱い、移動、保存、使用、リサイクルまたは再利用、および廃棄が確実に実施されるよう管理しなければなりません。

(7-4) 水の使用削減

企業は、法規制を遵守し、使用する水の水源、使用、排出をモニタリングし、節水しなければなりません。

(7-5) 生物多様性保全

企業は、多様な生物が存在する自然環境や生態系を保全するため、事業活動におけるそれらへの負荷の低減に取り組まなければなりません。

(7-6) 環境に配慮した製品・サービスの提供

企業は、環境に配慮した製品やサービスの提供に積極的に取り組まなければなりません。また、製品に含まれる化学物質については、すべての法規制および顧客要求を遵守しなければなりません。

8.情報セキュリティ

企業は、機密情報や個人情報の漏洩を防止し、情報セキュリティの強化を図らなければなりません。

(8-1) 情報セキュリティ・サイバーセキュリティ

企業は、自社のみならず、顧客や第三者から受領した機密情報を、適切に管理・保護しなければなりません。また、サイバー攻撃などからの脅威に対する防御策を講じて、自社および他者に被害が生じないように管理しなければなりません。

(8-2) 個人情報保護

企業は、取引先、顧客、従業員などすべての個人情報について、関連する法規制を遵守し、適切に管理・保護しなければなりません。

9.危機管理・事業継続計画

企業は、自然災害や事故などの発生に備え、従業員をはじめとするステークホルダーの安全確保と、いち早い事業活動の再開を実現できるよう、適切な対策を行わなければなりません。

(9-1) 危機管理

企業は、自然災害や事故などの緊急事態による労働者および資産の被害、ならびに、それらの被害により間接的に影響がおよぶ関係者や公衆の被害を最小限に抑えるよう、緊急対策時の行動手順の作成、必要な設備などの設置、災害時にその行動がとれるような教育・訓練を行わなければなりません。

(9-2) 事業継続計画(BCP)

企業は、事業継続を阻害するリスクを特定・評価し、事業への影響の精査と中長期的に必要な事前対策、その取り組み状況をまとめた事業継続計画(BCP)を策定しなければなりません。

以上

三井不動産グループサステナブル調達基準の英語版はこちらを参照してください。
https://www.mitsuifudosan.co.jp/english/esg_csr/society/04.html

サプライヤーのESGデューデリジェンス

サプライヤーアンケートの実施

人権リスク評価の結果、ESG課題との関連性や影響が大きい業界の一つである建設業のサプライヤーのうち大手6社を対象に、重要な課題を把握し理解を深めるため、サステナブル調達方針に沿って以下の項目に関するサプライヤーアンケートを実施しました。

アンケートの項目

  • 法令等の遵守
  • 労働に係る人権尊重
  • 企業倫理の確立
  • 環境への配慮
  • 危機管理・事業継続計画
  • 事業活動における人権尊重
  • 安全で健康的な労働環境
  • 品質の確保
  • 情報セキュリティ

その結果、事業活動における人権尊重、労働に係る人権尊重、企業倫理の確立、品質の確保、環境への配慮の項目において、一部取り組みが不十分な項目がありました。アンケ―トの結果を踏まえ、今後、サプライヤーに対してさらなる人権を含むESGの取り組みのレベルアップに向けた働きかけを行っていきます。

サプライヤ―検査(現場監査)の実施

サプライヤーアンケートを依頼した建設会社6社のうち2社に対し、稼働中の現場でのサプライヤーに対する実地検査(現場監査)を実施しました。外部の監査会社とともに1日ずつ現場に訪問し建設会社にヒアリングを実施し、サプライヤーアンケート回答内容の具体的な取り組みを中心に確認しました。結果、人権侵害やコンプライアンス違反といった著しい問題は発見されませんでした。

サプライヤーアンケート・検査(現場監査)の結果と課題への対応

・アンケートと検査の結果、著しい問題はありませんでしたが、下記の通り一部改善が必要な点もありました。

アンケート・現場検査を踏まえたリスク評価(概要)
アンケート・現場検査を踏まえたリスク評価(概要)

・一部取り組みが不十分な項目については、建設会社と改善策を協議し、改善を図っていきます。

・今回のアンケート対象は建設会社でしたが、今後はそれ以外の業種にも、実態の把握を進めていきます。

主な取り組み

サステナブル調達の推進

当社は、「ESG推進委員会」(委員長:代表取締役社長執行役員)のもとに「ESG推進部会」を設置し、当社グループにおける人権問題への取り組みを推進しています。ESG推進部会では、当社グループの人権に関する理念の整理や方針の策定を行うとともに、サステナブル調達基準に基づく人権デューデリジェンスの推進やその結果の評価・対応の検討などを行っています。2020年12月に策定した「人権方針」を共通の基軸として関連するさまざまな活動をグローバルな視点で進めています。

社内研修

年2回実施している全社コンプライアンス研修(e-ラーニング)にて、人権方針・サステナブル調達基準に関する社内研修(人権方針の説明等)を実施しています。

多様な連携と協力

当社グループでは、「環境への取り組み方針」の中で「様々な主体との多様な連携・協力(Cooperation)」を定めています。 また、顧客、取引先、地域社会、行政などとも連携・協力して、事業活動における人権の尊重を遵守します。

また、内閣府等が創設した「パートナーシップ構築宣言」に参画しています。「パートナーシップ構築宣言」は、大企業と中小企業が共に成長できる持続可能な関係を構築するため、サプライチェーン全体の共存共栄と規模・系列等を越えた新たな連携や、親事業者と下請事業者との望ましい取引慣行の遵守を宣言するものです。

「パートナーシップ構築宣言」

当社は、サプライチェーンの取引先の皆様や価値創造を図る事業者の皆様との連携・共存共栄を進めることで、新たなパートナーシップを構築するため、以下の項目に重点的に取り組むことを宣言します。

1.サプライチェーン全体の共存共栄と規模・系列等を超えた新たな連携

直接の取引先を通じてその先の取引先に働きかける(「Tier N」から「Tier N+1」へ)ことにより、サプライチェーン全体での付加価値向上に取り組むとともに、既存の取引関係や企業規模等を超えた連携により、取引先との共存共栄の構築を目指します。その際、災害時等の事業継続や働き方改革の観点から、取引先のテレワーク導入やBCP(事業継続計画)策定の助言等の支援も進めます。

(個別項目)

a.企業間の連携

アンド」マークに象徴される「共生・共存」の理念に基づき、ビジネスパートナーと共に当社の事業を推進いたします。また、ビジネスパートナーと共にオープンイノベーションによる新産業を創造していきます。

b.グリーン化の取組

当社は、「脱炭素社会実現に向けたグループ行動計画」を策定の上、サプライチェーンと一体となって、①「新築・既存物件における環境性能向上」、②「物件共用部・自社利用部の電力グリーン化」、③「入居企業・購入者の皆様へのグリーン化メニューの提供」、④「再生可能エネルギーの安定的な確保」、⑤「建築時のCO2排出量削減に向けた取り組み」等を実行して参ります。

2.「振興基準」の遵守

親事業者と下請事業者との望ましい取引慣行(下請中小企業振興法に基づく「振興基準」)を遵守し、取引先とのパートナーシップ構築の妨げとなる取引慣行や商慣行の是正に積極的に取り組みます。

①価格決定方法

不合理な原価低減要請を行いません。取引対価の決定に当たっては、下請事業者から協議の申入れがあった場合には協議に応じ、労務費上昇分の影響を考慮するなど下請事業者の適正な利益を含むよう、十分に協議します。取引対価の決定を含め契約に当たっては、親事業者は契約条件の書面等による明示・交付を行います。

②手形などの支払条件

下請事業者との取引に対する代金は現金で支払います。

③知的財産・ノウハウ

取引上の立場を不当に利用したノウハウの開示や知的財産権の無償譲渡などは求めません。

④働き方改革等に伴うしわ寄せ

取引先も働き方改革に対応できるよう、下請事業者に対して、適正なコスト負担を伴わない短納期発注・急な仕様変更を行いません。災害時等においては、下請事業者に取引上一方的な負担を押し付けないように、また、事業再開時等には、できる限り取引関係の継続等に配慮します。

3.その他

三井不動産グループは、「共生・共存」「多様な価値観の連繋」「持続可能な社会の実現」の理念のもと、人と地球がともに豊かになる社会を目指し、環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)を意識した事業推進、すなわちESG経営を推進しております。当社グループのESG経営をさらに加速させていくことで、日本政府が提唱する「Society 5.0」の実現や、「SDGs」の達成に大きく貢献できるものと考えています。また、2021年11月には「脱炭素社会の実現」、「ダイバーシティ&インクルージョン推進」に関し、グループ指針を策定しました。今後も、当社グループは街づくりを通じた社会課題の解決に向けて取り組んでまいります。

2022年2月28日
三井不動産株式会社 代表取締役社長 菰田 正信

「パートナーシップ構築宣言」の詳細についてはこちらをご参照ください。
https://www.biz-partnership.jp/index.html

CS(顧客満足)向上の取り組み

当社グループは、お客さまとのコミュニケーションを重視し、いただいたご意見やご要望に対して真摯な姿勢で取り組んでいます。さまざまな消費者課題の解決・改善に努めることにより、顧客目線に立った街づくりと、お客さまへ提供するサービスの質の向上を推進します。

主な取り組み

お客さまアンケートの実施

各事業においてお客さまの声に耳を傾ける取り組みを行っています。オフィスビルのテナント企業や、マンション・戸建住宅の居住者、ホテルの宿泊者などへのCS調査を実施し、各種改善に役立てています。商業施設事業では、「お客さまの声ボックス」を一部施設で設置し幅広くご意見・ご感想を収集し、施設運営の改善や店舗づくりなどに活用しています。

施設名 改善例
オフィス
ビル
  • 防犯対策、分煙対策
  • 共用部分の整備
  • エレベーターの運行プログラムの改善
  • トイレ内の設備環境の整備
  • エレベーター救出訓練の見学会実施
  • 館内施設の見学ツアーの実施
商業施設
  • コインロッカー増設、大型コインロッカーの設置
  • キッズスペース改修・増設
  • ベビールーム内空気清浄機
  • 電子レンジ設置
  • オムツ交換室カーテン設置
  • 授乳室の床材・壁クロスの張替
  • 女性トイレ・パウダールーム改修
  • ベビーカー設置場所の増設(ベビーカーの増台)
  • ベビーカー返却場所増設
  • カート返却場所増設・駐車場内サイン改善
  • 館内ベンチ・サイン増設、スモーキングルーム扉改善
  • ペットルールの変更(持ち込みエリアの見直し)
物流施設
  • 共用部の喫煙場所の整備、駐車場・駐輪場の増設
  • 共用アメニティの充実(クリスマスツリー・門松の設置、一言カードの設置など)
バリアフリー・ユニバーサルデザイン

当社グループは、働く、住まう、遊ぶ、憩うなどのあらゆるシーンにおいて、文化・言語・国籍や年齢・性別などの違い、障がいの有無、能力差などを問わずに、誰もが利用しやすい街づくり・建物づくりを推進しています。また、オフィスビルを始め、すべての開発において公共交通機関へのアクセスを考慮して障がい者対応の評価を実施し、法令の定める範囲で対応を実施するとともに、一部ではプラスアルファの取り組みを行っています。

三井ホームの『温湿度バリアフリーで「健康・安心・らくらく」ホームプロジェクト』は、ダクト式の空調システムとIoT技術を組み合わせることにより、室内のホコリを抑えて掃除の回数を減らしたり、外出先からお風呂を沸かしたりして、家事負担の軽減および時間を短縮できるもので、国土交通省の「平成29年度サステナブル建築物先導事業(次世代住宅型)」に採択されています。

国土交通省の「サステナブル建築物等先導事業」に採択
接客ロールプレイングコンテスト全国大会

三井不動産商業マネジメント㈱は、全国で運営する商業施設内での予選を勝ち抜いた代表者による「接客ロールプレイングコンテスト全国大会」を毎年8月に開催しています。これは、リアル店舗ならではの接客・サービスの質を高めて「来館価値の向上」をめざすものです。

大会参加者
大会参加者
「第11回全力応対コンテスト」開催

三井不動産ホテルマネジメント㈱は2019年2月20日、「第11回全力応対コンテスト」を開催しました。総勢20名が登場したステージでは、参加者が日々の接客で磨きあげた応対をロールプレイング形式で披露し、「笑顔でお客さまをお迎えする」ことの喜びや大切さを再認識しました。

大会参加者
大会参加者
CASBEE-WO取得

2020年5月、「日本橋室町三井タワー」が「CASBEE-WO(ウェルネスオフィス)認証制度」の最高位Sランクを取得するとともに、これまで認証された賃貸オフィスビルの中で最高スコアである92.0点を獲得しました。あわせて「CASBEE-建築」の自己評価登録も行い、高い環境性能総合評価も踏まえて「CASBEE スマートウェルネスオフィス認証」に認定されました。同ビルは、日本で初めて既存市街地に自立分散電源によって電気と熱を供給するエネルギープラントを設置するほか、最新鋭の制震装置を導入し、安全・安心な街づくりとBCPを推進します。また、ワーカーの健康増進のための施設と充実したプログラムを提供しており、これらの取り組みが総合的に評価されました。

一般社団法人健康環境・省エネルギー機構(IBEC)が実施する、ハード・ソフト両面でのオフィスの取り組みを認証するもの。建物内で執務するワーカーの健康・快適に直接影響を与える要素だけでなく、知的生産性の向上に資する要因や、安全・安心に関する性能についても評価されます。

健康促進イベント「&well Festa」 (大屋根広場)
健康促進イベント「&well Festa」(大屋根広場)
(2019年7月開催時の様子)
お客さまとのコミュニケーションツール

当社グループでは、お客さまに向けて多彩なコミュニケーションツールを提供し、お客さまとのリレーション構築の一助としています。コミュニケーションツールの内容は、お住まいに関する様々な情報やお客さまの安全・安心、環境意識向上のサポートなどが中心で積極的な情報発信、情報交換を行っています。

会社名 コミュニケーションツール
三井不動産
レジデンシャル
リース㈱
住まいと暮らしのガイド
賃貸住宅における生活のポイントをまとめたお客様向けガイドブック。
三井不動産
レジデンシャル㈱
三井のすまい
三井不動産レジデンシャルの住まいの情報総合サイト。
みんなの住まい
住まいについてみんなで話し合うコミュニケーションメディア。
三井不動産
グループ
げんきな森と木のひみつ
三井不動産グループの森林保護活動を紹介する、ファミリー向けのパンフレット。
三井ホーム㈱
環境・社会活動
東京ミッドタウン
マネジメント㈱
On the Green

ES(従業員満足)向上の取り組み

大切なパートナーである施設で働く従業員の皆さまに、より良い職場環境を提供してES(従業員満足)を高めることがお客さまへのサービス向上につながり、CS(顧客満足)を高めるという考えに基づいて、働きやすい環境づくりに注力しています。

今後も制度の充実や従業員が利用する施設の機能性を高め、すべての従業員が快適に働ける労働環境の整備に努めていきます。

主な取り組み

商業施設で働く従業員のESの向上を目的として、従業員休憩室の改装を進めています。カフェをイメージした明るく、開放感のある休憩室は施設ごとに個性豊かな装飾が施されており、従業員がリラックスして過ごせる癒しの空間となっています。食品自販機やコンビニ自販機を導入し、利便性を高めています。

「ららぽーと豊洲」
「ららぽーと豊洲」
「ラゾーナ川崎プラザ」
「ラゾーナ川崎プラザ」

街づくりを通じた新たな価値・市場の創造

当社グループは、常に先進性を追求しながら、優れた機能と品質を備えた街づくりを通して、新たな価値や市場を創造するべく、「街づくりの基本姿勢」を次の3点に集約しています。1つ目は、ミクストユース化(用途や機能の複合)、ソフト・ハードの融合などによる「多機能・多彩なコンテンツの融合」。2つ目は、住む人、集う人、憩う人や地域をつなぐ「コミュニティの創造」。そして3つ目は、街が完成したのちもタウンマネジメントなどを通じて、年々、街の魅力を高めていく「経年優化®」です。

この3つを好循環させることにより、新たな価値の創造をめざします。

主な取り組み

「東京ミッドタウン日比谷」の取り組み

詳細については、こちらをご参照ください。
https://www.mitsuifudosan.co.jp/machidukuri/tokyo_midtown_hibiya/?id=global

三井不動産ロジスティクスパーク(MFLP)の取り組み

当社は、2016年に策定したロジスティクス事業ステートメント「ともに、つなぐ。ともに、うみだす。」を基に、既存の枠に捉われない価値づくりに挑戦するべく、三井不動産ロジスティクスパーク(MFLP)において、さまざまな施策を行っています。MFLPは物流の効率化にとどまらず、入居企業による雇用の創出や人員確保に向けたコンサルティングサポート、建築工事における地元業者の採用、施設従業員の近隣店舗利用促進など、地域貢献のための取り組みを実施している先進の物流施設です。

周辺地域の状況に応じた付加価値を提供する複合施設として注目されています。

「三井不動産ロジスティクスパーク船橋」 外観イメージパース
「三井不動産ロジスティクスパーク船橋」 外観イメージパース

日本橋エリアの取り組み

詳細については、こちらをご参照ください。
https://www.mitsuifudosan.co.jp/machidukuri/nihonbashi/

宅配便の再配達ゼロをめざす取り組み

三井不動産レジデンシャル㈱と㈱フルタイムシステムは、社会的課題のひとつとなっている宅配物の増加に対し、マンションの宅配ロッカーの利用効率を向上させることで“再配達ゼロ”をめざして、以下の対策を考案しました。

  • 利用状況に適した宅配ロッカーの新構成によるBOX数の増加
  • 宅配ロッカーの入出庫回転率の向上を図る
  • 宅配ロッカーへの入庫数の減少を図る
  • 「宅配ロッカーの利用情報閲覧サービス」の提供

この4つの対策は、2019年に竣工した大規模分譲マンション「パークタワー晴海」をはじめとして、三井不動産レジデンシャル㈱が分譲するマンションへの導入を順次進めて、宅配ロッカーの利用率向上を図ります。

利用効率向上策を導入する「パークタワー晴海」
利用効率向上策を導入する「パークタワー晴海」
宅配ロッカー(イメージ)
宅配ロッカー(イメージ)

安心・安全な街づくり

当社グループは、災害に強い街づくりを推進するとともに、日常的な訓練・点検・教育を通じて防災に関する意識向上に努め、安全・安心の確保をめざしています。従業員やテナント、お客さまの安全を守るだけでなく、地域社会と連携した防災対策の拡充を進めています。

災害対応体制

当社グループが運営するビル、施設の従業員およびテナント企業、来場者の安全・安心を守るために、防災訓練や講習、BCP(事業継続計画)に関する取り組みを推進しています。従業員やテナント、お客さまの安全を守るため、災害対策マニュアルやBCPを策定し、災害発生に備えています。

当社では、専用の「災害対策本部室」を「日本橋室町三井タワー」(東京都中央区)に常設しています。日本橋室町三井タワーでは、災害時の信頼性が高い中圧ガスを発電に利用するため、非常時にも建物のBCPに必要な電気の供給を受けることが可能です。

大規模地震が発生したときなどには、社長を最高責任者とする「緊急対策本部」を設置して対応します。また夜間・休日の発災に備えて、社員による夜間・休日の宿日直を実施しており、迅速に緊急対策本部を立ち上げる体制としています。社員の安否状況や各物件の被災状況の確認を行うとともに、グループ会社と連携し、災害対応を行う体制を取っています。また、AED(自動体外式除細動器)による救命講習を社員に実施し、普通救命講習の資格を取得したスタッフを配置することで、万一の際に突然心停止からの蘇生率を高める対策を施しています。

災害対策本部室
災害対策本部室
AED(自動体外式除細動器)設置写真
AED(自動体外式除細動器)訓練風景

ビルの防災・BCP

東日本大震災以降に高まったテナント企業の安全・安心、事業継続計画(BCP)に対するニーズに応えて、非常時の対応、平常時の備えを強化し、新築ビル・既存ビルともに防災・BCPに関する取り組みを推進しています。

「三井オフィス」での主な取り組み

①インフラ停止後72時間の電力機能確保・主要機能の維持
  • (1)主要ビルにおける72時間対応の非常用発電設備の標準装備(専用部にも電力供給可能)
  • (2)主要機能の維持・早期復旧のための対応強化(エレベーター・トイレ・換気など)
  • (3)建物被災度判定システムの導入拡大
②帰宅困難者対応の強化
  • (1)防災備蓄品の配備を強化
    • 一般帰宅困難者向けの水・食料を一定提供
    • テナントに対して従業員一日の水・食料を無償提供
  • (2)情報発信の強化(情報提供のためのデジタルサイネージを設置)
③災害時の司令塔「危機管理センター」の常設
  • (1)災害時に情報の一元管理が可能な「危機管理センター」を常設
  • (2)専用回線による最新のTV会議システムなど複数の非常時通信インフラを完備
  • (3)当直体制による365日24時間対応
④防災関連ガイドブックの発行

テナント企業向けに、当社の防災の取り組みや、什器の転倒対策の重要性を伝える『防災ガイドブック』『オフィス什器 転倒落下防止ガイドブック』を発行

日本橋・豊洲スマートエネルギープロジェクト
(「スマートエネルギープロジェクト」の詳細については、こちらをご参照ください。)

豊洲エリアの駅前拠点施設を対象に、コンパクトな自立分散型エネルギー供給を実現する「豊洲スマートエネルギープロジェクト」。 豊洲駅前に位置する拠点施設である大規模再開発「豊洲ベイサイドクロス」に加え、まもなく築30年を迎える「豊洲センタービル」にも電気・熱を供給します。 本事業において導入したCGSは、地盤変動にも耐え得る強度や柔軟性に優れた「溶接接合導管」を採用した中圧ガス導管からガス供給を行い、発電します。 また、大容量のCGSを導入したことで、広域停電時にもBCPに必要な電気の供給(ピーク時の50%)が可能となります。 さらに、エネルギーセンターを地上階に設置することで、万一の浸水被害へのリスク対策を講じています。

※CGS:コジェネレーションシステムの略称。熱源(都市ガス)より電力と熱を生産し、総合エネルギー効率の高いエネルギーを供給します。
電気・熱の供給エリア
三井不動産総合防災訓練

当社グループでは、災害対策マニュアルや事業継続計画(BCP)に基づく訓練等を行っています。大規模地震への全社対応訓練としてグループ会社やテナントと連携した共同総合防災訓練を年2回、9月1日(防災の日)と3月11日を中心に実施しています。

「新宿三井ビルディング」(東京都新宿区)テナント共同総合防災訓練
「新宿三井ビルディング」(東京都新宿区)テナント共同総合防災訓練

商業施設の防災・BCP

当社グループが展開する商業施設では、全施設統一の災害マニュアルを整備し、災害時の初動における顧客の避難誘導方法を周知徹底するなど、実践的な取り組みを強化するとともに、設備面の防災対策も進めています。

全社災害対策徒歩参集訓練

当社と三井不動産商業マネジメント㈱は、災害時の連繋を確認する全社災害対策訓練を年に2回行っています。

「防災道場」プログラム

東京ミッドタウンマネジメント㈱では、「東京ミッドタウン」(東京都港区)に設置された訓練施設「防災道場」で、一人ひとりが実践的なシミュレーション訓練を体験しています。火災・救急・救助を含めた災害対応スキルを身につけることを目的に、全社員が3日間にわたり合計8時間のプログラムを受講しています。

講義風景
講義風景
訓練の様子
訓練の様子
クイズやワークショップで地域住民に防災を啓蒙

当社と三井不動産商業マネジメント㈱は、行政・消防組織等と連携し、防災啓発イベント「&EARTH 災害に負けない知識を学ぼう!~防災スタンプラリー~」を首都圏の「ららぽーと」ほか商業施設で開催しています。

サバイバルキッチン
サバイバルキッチン
AEDのレクチャー
AEDのレクチャー

物流施設(MFLP)の防災・BCP

当社が運営する大型物流施設「三井不動産ロジスティクスパーク(MFLP)」では、以下の取り組みによりBCP対策の強化に努めています。

  • 免震構造

    建物の基礎部分に特殊なゴム層などを入れて地盤と絶縁し、大規模な地震の際にも建物の被害を最小限に抑える。

  • 非常用発電

    停電時だけでなく、万一の震災や火災の発生時にも、共用部や事務所エリアの照明などをバックアップする非常用発電機を設置。

  • 災害ベンダー

    災害発生時に飲料を無料で提供する機能を持つ自動販売機を設置。

  • 防災備蓄庫

    マルチテナント型倉庫に防災備蓄品を設置(物件により1日~3日分の備え置き)。

  • 監視カメラ(ITV)による遠隔監視

    災害対策本部などから現場の状況を把握できる監視カメラを設置。

MFLP茨木
「MFLP茨木」
MFLP稲沢
「MFLP稲沢」

ホテルの防災・BCP

ホテル事業では、運営するすべてのホテルにおいてエレベーターの耐震性確保、非常用発電機の24時間稼働確保、総合監視システム(各ホテル-本社間)の導入等によるBCP対策を行っています。

地域や社会とともに取り組む防災

当社グループはビルや施設の中だけでなく、周辺地域の防災を強化し、エリアに住む方々、働く方々の防災に対する意識を高めるために、さまざまな活動を行っています。

地域が一体となって参加した日本橋体験型防災訓練

当社と一般社団法人日本橋室町エリアマネジメントは中央区の協力を受けて、毎年3月の「春の火災予防運動週間」に合わせて日本橋エリアで防災訓練を実施しています。

日本橋体験型防災訓練の当日の様子
日本橋体験型防災訓練の当日の様子
日本橋体験型防災訓練の当日の様子
「熊本地震調査報告書」を関係省庁や大学に配布

三井ホーム㈱では阪神・淡路大震災以降、震度7以上の大地震に対して全棟調査を行っています。2016年に発生した熊本地震では被災地に建つ1,263棟を、延べ1,600人余りで調査し、その結果を調査報告書にまとめました。全壊・半壊ゼロで一部破損がわずか10棟という結果は、三井ホーム㈱設計・施工の2×4工法住宅の優れた耐震性を証明するものです。2017年2月に発行した報告書を関係省庁や大学に配布して、震災の情報として共有しています。

ICTを活用した防災高度化の実証実験

災害発生時にICTを活用し、施設の被災状況や来街者・在街者の避難状況を迅速に把握、避難誘導や帰宅困難者受け入れの最適化支援に役立てることを目的に、当社とシスコシステムズ合同会社は東京・日本橋エリアの安心・安全な街づくりをめざす「日本橋室町エリア防災高度化実行委員会」を2018年1月に立ち上げ、ICTを活用した防災サービスに関する実証実験を行っています。

日本橋安心・安全の実現に向けたICT/IoT活用のイメージ
日本橋安心・安全の実現に向けたICT/IoT活用のイメージ

街づくりの品質向上

当社グループでは、お客さまに安全・安心や快適さを提供するための基礎として、建物をはじめとする商品・サービス等の品質マネジメントに努めています。品質を踏まえた安全・安心や快適さを提供することが、お客さま満足(CS)実現の前提であると考えています。

各事業においては、品質マネジメントに関する独自の設計指針・マニュアル等を定めて運用し、品質の徹底管理を図っています。また、お客さまの声や発生した不具合等を反映する改訂、災害時の安全面に関わる項目などの見直しも随時実施しています。

各事業部門の主な指針等

部門 指針等
ビルディング事業
  • 「オフィスビル設計指針(BCP設計指針含む)」
    商品企画や運営管理上のノウハウを整理・集約して企画設計に関する方向性を規定
  • 「ビルディング事業標準業務フロー」
  • 「オフィスビルサイン計画ガイドライン」
  • 「オフィスビルバックヤード標準」
  • 「施工品質管理に関する各種帳票」
  • 「CO2削減策解説シート」
商業施設事業
  • 「商業施設設計依頼書」
    商品企画や運営管理上のノウハウを整理・集約して企画設計に関する方向性を規定
  • 「ららぽーとサイン計画ガイドライン」
  • 「テナント内装設計指針」
  • 「デザインクライテリア」
住宅事業
(中高層、戸建て)
  • 「住宅設計指針、仕様書、製品規格等」
ホテル事業
  • 「設計指針、仕様書」
    三井ガーデンホテルズの設計・施工についてのマニュアル
ロジスティクス事業
  • 「物流施設設計依頼書」
  • 「三井不動産ロジスティクスパーク サイン計画ガイドライン」
  • 「三井不動産ロジスティクスパーク 施設デザインガイドライン」

評価機関による性能評価

品質管理の客観的評価として、分譲マンションでは、国土交通大臣登録の第三者機関による「住宅性能表示制度の評価書」を設計段階と建築段階に取得しています(一部物件除く)。また、三井ホームの戸建注文住宅においても、住宅性能表示制度に高いレベルで対応することができます。

街づくりの基本デザイン

当社グループは、街づくりの基本デザインにおいて常に先進性を追求しながら優れた機能と品質を実現し、そこに暮らす人々の未来に向けた、新たな価値の創造をめざしています。

「柏の葉スマートシティ」における取り組み

当社グループは、「柏の葉スマートシティ」(千葉県柏市)を環境問題、超高齢化社会、経済停滞などの社会的課題を解決する先進的なモデル都市として位置付け、公・民・学連携による次世代都市の街づくりを進めています。

柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK)が「国土交通大臣賞」を受賞

UDCKが「第6回まちづくり法人国土交通大臣賞(まちづくりの担い手サポート部門)」を受賞しました。公共・民間・大学の連繋により事業計画策定、デザイン調整、事業後の空間マネジメントを行い、これらを実行する組織と運営の仕組みを他地域へと展開し、街づくりの担い手をサポートしてプロジェクト全体の活性化に貢献したことが受賞につながりました。

公・民・学連携の都市デザイン・マネジメントが「石川賞」を受賞

柏市、三井不動産、東京大学、千葉大学が協働した「柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK)」による公・民・学連携の都市デザイン・マネジメント」が、公益社団法人日本都市計画学会が表彰する2016年度の「石川賞」を受賞しました。

受賞者一同 (右からUDCK副センター長 三牧 浩也、UDCKセンター長 出口 敦、柏市長 秋山 浩保、UDCK副センター長 上野 武、三井不動産㈱ 副社長 北原 義一)

三井不動産レジデンシャルにおける取り組み

三井不動産レジデンシャル㈱の分譲マンション「パークコート青山 ザ タワー」「パークコート赤坂檜町 ザ タワー」が、公益財団法人日本デザイン振興会主催の「2018年度グッドデザイン賞」を受賞しました。これにより、三井不動産レジデンシャル㈱は19年連続でグッドデザイン賞を受賞しております。

モデルルーム
モデルルーム

日本橋における取り組み

残しながら、蘇らせながら、創っていく「日本橋再生計画」

日本橋(東京都中央区)は江戸時代から商業と文化の中心として栄えてきました。当社グループの源流もこの地で生まれ日本橋とともに歩んだ歴史は300年以上にわたっています。当社グループは、日本橋への愛着と感謝の想いを形にするため「残しながら、蘇らせながら、創っていく」をコンセプトに、地域の活性化と新たな魅力を創造するプロジェクト「日本橋再生計画」を始動。官・民・地元と一体となって、伝統と革新が共存する新たな街づくりを進めています。

再開発が進む日本橋のビル群の中に1,000m2を超える広場空間として設けられた「福徳の森」は、地域が育んできた歴史と伝統を日本の自然により再現した憩いの空間です。隣接する「福徳神社」やその参道を囲むように配置した緑地は、四季折々の美しさが楽しめるよう整備しています。

福徳の森
福徳の森
日本橋の「道づくりによる街づくり」

五街道の起点として栄えた東京・日本橋。当社は、この地域における無計画な再開発を防ぎ、日本橋で育まれた文化や伝統、歴史的な建造物との「共生・共存」を図るため「道づくりによる街づくり」を進めています。その第一歩が、日本橋を象徴する中央通り沿いに並ぶ建物の低層部の高さを31mに統一するなどの景観保全対策。さらに、昔から地域で愛されてきた通りの特性に合わせた施設の開発や緑地の整備により、人々が集い、楽しく過ごせる空間を創出しています。かつて舟運都市として栄えた「水の道」ネットワークの復活など、道づくりを起点として未来に向けた街づくりに取り組んでいます。

日本橋・中央通り
日本橋・中央通り

ホテルにおける取り組み

当社グループが運営する「三井ガーデンホテル」のリニューアルに際しては、地域特性をデザインに取り入れた改装を行っています。

「三井ガーデンホテル京都三条」(京都市中京区)では、古来より高貴な色とされてきた“緋色(ひいろ)”を館内のテーマカラーに選定。伝統的な日本らしさと海外のお客さまがイメージされるエキゾチックなジャパニーズスタイルを融合したデザインを採用しました。四季の彩りに満ちた日本情緒のある中庭や京友禅のウォールアートが京都らしさを演出し、心和む滞在空間として生まれ変わりました。「三井ガーデンホテル広島」(広島市中区)は、瀬戸内を渡るさわやかな風や地元の特産品である「牡蠣」をモチーフにしたデザインを館内の随所に施し、広島ならではの空気感あふれる室内空間となっています。「三井ガーデンホテル熊本」(熊本市中央区)では、熊本の豊かな自然や文化をデザインに取り入れ、従来以上に機能的で快適な空間となるよう客室内のレイアウトを変更しました。「火の国くまもと」や「水の国くまもと」をイメージした客室のほか、ご当地の人気ゆるキャラ「くまモン」をモチーフにしたご家族向けの客室も好評です。ロビーやレストランのファニチャーやファブリックも一新し、熊本を代表する工芸品「肥後手毬」をモチーフとしたアートワークや「きじ馬」「おばけの金太」など郷土の民芸品・郷土玩具で装飾しました。

「三井ガーデンホテル京都三条」ロビー
「三井ガーデンホテル京都三条」
ロビー
「三井ガーデンホテル広島」ロビー
「三井ガーデンホテル広島」
ロビー
「三井ガーデンホテル熊本」ロビー
「三井ガーデンホテル熊本」
ロビー

「鳥羽国際ホテル」(三重県鳥羽市)の和食レストラン「もんど岬」の改装に、地元三重県の木材や焼物を使いました。三重県の伝統文化である萬古(ばんこ)焼のタイル、樹齢約300年の三重県産伊勢桧の一枚板のカウンター、組子の装飾など、三重県を代表する職人による日本の伝統的な工芸手法をインテリアデザインに用いています。

伊勢桧の一枚板のカウンター
伊勢桧の一枚板のカウンター

住宅における取り組み

三井ホームの『温湿度バリアフリーで「健康・安心・らくらく」ホームプロジェクト』

ダクト式の空調システムとIoT技術を組み合わせることにより、室内のホコリを抑えて掃除の回数を減らしたり、外出先からお風呂を沸かしたりして、家事負担の軽減および時間を短縮できる三井ホームの『温湿度バリアフリーで「健康・安心・らくらく」ホームプロジェクト』が国土交通省の「平成29年度サステナブル建築物先導事業(次世代型住宅)」に採択されています。

三井ホームの高遮音床システム「Mute45-50」

子育て世代の家族が下の階へ伝わる音を気にすることなく、のびのびと暮らせる住宅業界最高レベルの床遮音性能と衝撃吸収性を持つ、三井ホームの高遮音床システム「Mute45-50」が「第11回キッズデザイン賞子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン部門」を受賞しています。「Mute45-50」は、住宅以外の保育園や幼稚園、医療施設などに応用して、優れた衝撃吸収性により身体への負荷を軽減し、転倒時の安全性を高めることも可能です。

「Mute45-50」を導入した集合住宅
「Mute45-50」を導入した集合住宅
KIDS DESIGN AWARD 2017

都市の再開発プロジェクトの実績

当社グループは、「共生・共存」「多様な価値観の連繋」「持続可能な社会の実現」の理念を実現し、お客さまや社会に向けて新しい価値を提供するために、「街づくりの基本姿勢」を次の3点に集約しています。

  • ミクストユース化(用途や機能の複合)、ソフト・ハードの融合などによる「多機能・多彩なコンテンツの融合」。
  • 住む人、集う人、憩う人や地域をつなぐ「コミュニティの創造」。
  • 街が完成したのちもタウンマネジメントなどを通じて、年々、街の魅力を高めていく「経年優化®」。

また、オフィスビルを始め、すべての開発において公共交通機関へのアクセスを考慮しています。交通拠点近傍の立地による利便性・安全性の提供はもとより、運用においても多くの人が集う商業施設やホテル等で環境負荷の少ない公共交通機関の利用を推奨しCO2排出低減にも寄与しています。さらに、すべての開発において障がい者対応の評価を実施し、法令の定める範囲で対応を実施するとともに、一部ではプラスアルファの取り組みを行っています。

主な再開発プロジェクト

東京・日本橋エリア

当社グループは地域のコミュニティと連携して、江戸時代から受け継がれてきた歴史や文化を街づくりやイベントに活かしながら、ライフサイエンス拠点としての機能強化をはかり、日本橋エリアの活性化に貢献しています。
詳細については、こちらをご参照ください。
https://www.mitsuifudosan.co.jp/machidukuri/nihonbashi/?id=global

「柏の葉スマートシティ」

当社グループは、「柏の葉スマートシティ」(千葉県柏市)を環境問題、超高齢化社会、経済停滞などの社会的課題を解決する先進的なモデル都市として位置付け、公民産学の連携による次世代都市の街づくりを進めています。
詳細については、こちらをご参照ください。
https://www.mitsuifudosan.co.jp/machidukuri/kashiwanoha/?id=global

「東京ミッドタウン日比谷」

2018年3月29日にオープンした「東京ミッドタウン日比谷」(東京都港区)は、明治時代から社交とくつろぎの場として発展し、日本の近代化に大きな役割を果たしてきた日比谷の歴史と伝統を継承しながら“未来志向の新たな体験や価値の創造”をめざしています。
詳細については、こちらをご参照ください。
https://www.mitsuifudosan.co.jp/machidukuri/tokyo_midtown_hibiya/?id=global