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トップメッセージ

街づくりを通して持続可能な社会の構築を実現

左:代表取締役会長 岩沙弘道
右:代表取締役社長 菰田正信

三井不動産グループの社会課題解決に向けた取り組み

新型コロナウイルス感染症との戦いが続いています。経済活動が大幅に制限され、個人消費が縮小するとともに、インバウンド需要が消失し、観光、外食業界を中心に幅広い産業が打撃を受けています。ワクチンの接種が進められていますが、感染力の強い変異ウイルスの影響等により、人々の行動が制約され、経済活動が長期間にわたり停滞することも想定されています。このような事業環境のもと、当社グループは人命を守るために感染拡大防止に積極的に協力するという観点から、商業施設およびホテルの休館など、企業の社会的使命を果たす取り組みを行ってまいりました。また、当社グループの施設を安心してご利用いただくための感染防止対策を徹底し、「感染拡大防止」と「施設運営の正常化」に取り組むこととともに、新型コロナウイルス感染症による人々のくらし方や働き方の構造的な変化に対応すべく、法人向け多拠点型シェアオフィス「ワークスタイリング」の拠点拡大、リアル店舗共生型ECモール「&mall」事業の加速、ホテル客室のテレワーク利用等に取り組むなど、グループ長期経営方針「VISION 2025」に基づき、新たな価値創造に取り組んでまいりました。

また、当社グループは、「街づくりを通して、持続可能な社会の構築を実現」に向けて様々な社会課題の解決に寄与することがデベロッパーの社会的使命であると認識しており、「環境負荷低減」と「人材活躍」の分野において新たに数値目標を設定いたしました。
特に、脱炭素社会の実現に向けて、グループ全体の温室効果ガス(GHG)排出量を2050年度までにネットゼロとする目標を定めました。電気と熱を安定供給するスマートエネルギープロジェクトを、日本橋エリアに加え、豊洲エリアにおいても稼働させ、供給エリア全体のCO₂排出量を日本橋エリアで約30%、豊洲エリアで約20%削減するとともに、オフィスビル等の使用電力に再生可能エネルギーを組み入れてグリーン化を図るなど、積極的に省エネルギーや再生可能エネルギーの活用に関する取り組みを進めてまいりました。また、首都圏で所有するすべての施設で 2030 年度までにグリーン電力化を推進し、東京ミッドタウン 3 施設や日本橋エリアなど 25 棟で 2022 年度末までに先行導入することを決定しました。さらに、八重洲エリアにおけるスマートエネルギープロジェクトや、日本橋における木造17階建ての高層オフィスビル計画など、環境を重視した取り組みを一層推進してまいりました。
あわせて、企業等に対して気候変動リスクと機会に関する情報開示を推奨する気候関連財務情報開示タスクフォース「TCFD」の提言に基づく情報開示を行いました。また、社会のニーズの変化に対応し、新たな価値創造を実現するため、女性管理職比率を2025年度までに10%、2030年度までに20%とすることを目標として定め、多様な価値観・才能・ライフスタイルを持った人材が、それぞれの持てる力を最大限に発揮するための取り組みを進めてまいりました。

各事業の状況

オフィスビル事業では、「文京ガーデン ゲートタワー」等が竣工したほか、法人向け多拠点型シェアオフィス「ワークスタイリング」において、働き方の多様化を捉え、新サービスである個室特化型サテライトオフィス「ワークスタイリング SOLO」や、「三井ガーデンホテルズ」等の提携拠点を含む76拠点を新たに開設し、合計126拠点となり、会員数も大幅に増加いたしました。
商業施設事業では、公園一体型の開発の新ブランドである「RAYARD」(MIYASHITA PARK・Hisaya-odori PARK)を開業したほか、当社初のアウトレットモール「三井アウトレットパーク横浜ベイサイド」は、大きくスケールアップしてリニューアルオープンしました。
ホテル・リゾート事業では、ホテル客室の「ワークスタイリング」利用や、定額制で居住ニーズを取り込む「サブ住む」プランなどの新商品を販売しました。また、デジタルトランスフォーメーションを取り入れた新ブランド「sequence」(MIYASHITA PARK・KYOTO GOJO・SUIDOBASHI)のほか、オリジナルブランドによる初のラグジュアリーホテル「HOTEL THE MITSUI KYOTO」を開業しました。
国内の住宅マーケットは、利便性の高い都心や駅近物件は引き続き好調な売れ行きとなっています。また、テレワークの伸張など、働き方の変容により顧客のニーズが多様化し、郊外物件や戸建ても堅調に推移しています。
海外事業においては、台湾において、「MGH Mitsui Garden Hotel 台北忠孝」を開業し、「三井ショッピングパーク ららぽーと上海金橋」や「三井ショッピングパーク ららぽーと BUKIT BINTANG CITY CENTRE」等の開発を進めました。
また、スポーツ・エンターテインメントを軸とする街づくりを拡大し、スタジアム・アリーナ事業という新規事業領域に進出するため、株式会社東京ドームの株式公開買付けを実施し、2021年1月25日付で当社の連結子会社といたしました。

今後の展望

新型コロナウイルス感染症を契機として、人々のくらし方や働き方に変化が生じました。例えば、テレワークが普及し、その有用性が認識されましたが、一方で、リモートワークの限界も明らかになり、リアルでなければできないもの、リアルの方がより良いものがあることも再認識いたしました。これらの変化の中には、ポストコロナで元に戻るものと、戻らないものがあり、何が不可逆的な変化なのかということを的確に捉える必要があります。
これからの働き方は「本社」と「分散型オフィス」と「在宅」の組み合わせとなり、買い物は「リアル店舗」と「Eコマース」のオムニチャネルになると考えています。つまり、ポストコロナの街づくりでは、リアルとデジタルの最適な組み合わせを考えることが重要であるということです。さらに、デジタル技術では代替できないリアルな空間の価値を最大限に高めることで、ポストコロナ時代のビジネスモデルの確立を目指してまいります。
また、新型コロナウイルス感染症を契機に加速した顧客ニーズの変化に的確に対応するためには、ビジネス構造を、商品別・施設別ではなく、お客様の行動別に捉える必要があります。そのためにも、当社グループが掲げる「リアルエステート・アズ・ア・サービス」、すなわち、「不動産をお客様にモノとしてではなくサービスとして提供する」という考えのもと、デジタルトランスフォーメーションを積極的に加速することで、事業の競争力を一層高めてまいります。

ESGに関する取り組みとしては、特に脱炭素社会の実現に向けて、当社グループとして定めた温室効果ガス(GHG)排出量を2050年度までにネットゼロにするという目標を達成すべく、グループ全体の排出量削減に関するロードマップを策定し、積極的に省エネルギー、再生可能エネルギーの活用、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)・ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)化等を推進してまいります。また、女性の活躍推進やグローバル人材・IT人材の採用・育成など、ダイバーシティを一層推進するとともに、働き方改革にも継続的に取り組むことで、多様な人材が活躍できる社会の実現を目指してまいります。

これらの様々な取り組みを通じて、当社グループはESG課題の解決やSDGsの達成に貢献するとともに、グループ長期経営方針「VISION 2025」の達成に向け、「街づくりを通して、持続可能な社会の構築を実現」、「テクノロジーを活用し、不動産業そのものをイノベーション」、「グローバルカンパニーへの進化」をビジョンに掲げ、引き続き「顧客志向の経営」、「ビジネスイノベーション」、「グループ経営の進化」の3つの基本ストラテジーの実践による価値創造に取り組んでまいります。

2021年7月
三井不動産株式会社
代表取締役会長

三井不動産株式会社
代表取締役社長