生物多様性

取り組み方針

グループ環境方針に基づき、都市における貴重な自然環境の保全や、その土地の記憶や歴史を継承する樹木・樹林の保存に努めるとともに、新たな緑の創出に努めます。また、「経年優化®」の思想のもと、周辺環境との調和や生態系保全に配慮した緑地や生物生息環境の創出・復元に努めます。

主な取り組み

経団連自然保護協議会への加盟

当社は、経団連自然保護協議会に加盟しています。本協議会は、基金を通じた発展途上国や日本国内の自然保護活動への支援、企業における自然保護活動の促進など、様々な活動を展開しています。

Keidanren Initiative for Biodiversity

多様な生物が生息する地域

国立公園内での事業活動

当社グループが事業活動を行っている地域のうち、リゾートホテルの「はいむるぶし」(沖縄県八重山郡)は西表石垣国立公園の普通地域内に、「鳥羽国際ホテル」(三重県鳥羽市)は伊勢志摩国立公園の普通地域内に、「NEMU RESORT」と「AMANEMU」(ともに三重県志摩市)は伊勢志摩国立公園の普通地域および特別地域内に位置しています。これらリゾートホテル4施設が位置する国立公園内の地域においては、開発などにより喪失した生物生息環境の創出・復元に努めるとともに、事業活動による地域の生物生息環境への負荷を最小限にとどめます。また、これらの豊かな自然を活用し、人が自然と触れ合う場・機会の提供に努めます。

グループ保有林

当社グループは、北海道の31市町村に約5,000ha(東京ドーム約1,063個分)の森林を保有しています。その4割弱はミズナラなどの天然林で、最低限の管理にとどめ、自然のまま保全しています。6割強はトドマツなどの人工林で、計画的な植林と適切な管理・育成を行うとともに、保有林の木材を建築資材等に使用することで、「終わらない森」をつくっています。

グループ保有林の詳細についてはこちらもご覧ください。
三井不動産グループの森林保全活動

※:東京ドームの面積を約4.7haとして計算しています。

都市空間での緑の保全・創出

「東京ミッドタウン日比谷」(東京都千代田区)では、道路を挟んで隣接する日比谷公園の豊かな緑との調和に配慮し、在来種をベースとした公園と同種の樹木などを植栽に積極的に取り入れるとともに、「パークビューガーデン」(6階)、「スカイガーデン」(9階)などを設置し、約2,000m2(緑化率40%)の緑地を創出しています。

※緑化率:東京都条例の緑化計画における緑化面積の算出方法に基づき緑化面積を算出し、以下の式により緑化率を算出しています。
緑化率(%)=(屋上部緑化面積+地上部緑化面積)/(敷地面積-建築面積+屋上利用可能面積)×100
「東京ミッドタウン日比谷」の緑地配置図
「東京ミッドタウン日比谷」の緑地配置図
「パークビューガーデン」
「パークビューガーデン」
「スカイガーデン」
「スカイガーデン」

生物生息環境の保全・創出

「東京ミッドタウン」(東京都港区)は、六本木の旧防衛庁跡地を再開発した街で、旧防衛庁敷地内に残されていた約140本の樹木を保存・移植するとともに、隣接する港区立檜町公園と合わせて、開発面積の約40%(約4ha)が緑あふれるオープンスペースとなっており、緑化面積は旧防衛庁時代の約2.7倍となっています。「東京ミッドタウン」では、これらの緑地において2016年10月から2017年6月に野鳥調査を実施しており、その結果、東京都の保護上重要な野生生物種を示したレッドリストに掲載されているオオタカ、ダイサギ、トビ、モズを含め、計6目18科25種の鳥類を確認しています。また、館内において調査で確認した野鳥を紹介するハンドブックの配布も行っています。

「東京ミッドタウン」の野鳥ハンドブック
「東京ミッドタウン」の野鳥ハンドブック
「東京ミッドタウン」の緑地(ミッドタウン・ガーデン)
「東京ミッドタウン」の緑地
(ミッドタウン・ガーデン)
ハクセキレイ(芝主)
ハクセキレイ(芝主)
コゲラ(樹林)
コゲラ(樹林)
ツバメ(空)
ツバメ(空)
カルガモ(水辺)
カルガモ(水辺)
「東京ミッドタウン」に生息する野鳥

生物生息環境の再生

リゾートホテル「NEMU RESORT」(三重県志摩市)は、英虞湾を望む伊勢志摩国立公園内に位置しています。英虞湾では干潟や藻場の多くが失われており、豊かな海の再生をめざして、産官学民の協働で干潟や藻場の再生が進められています。「NEMU RESORT」においても、2012年度から園内の約2haの沿岸部遊休地(耕作放棄地)を干潟に再生する事業を行っており、再生後にボラやクロダイ(チヌ)、ケフソイソガニなどの生物の生息を確認しています。また、2016年3月に開業した「AMANEMU」(三重県志摩市)においては、「REFOREST(過去に繰り返された開発や森林伐採により傷ついた大地に自然を取り戻す)」を開発コンセプトに、事前に敷地内の植生調査を実施し、その結果を基に、敷地内の既存の森の主要構成樹種等を選定し、芝生面などの人為的で樹木のない場所から優先的に植栽を行うなど、地域の自然環境と調和した森の再生を図っています。

水辺の再生

当社グループが重点開発エリアと位置付けている日本橋において、日本橋川沿いで今後、敷地面積約6.7ha、敷地延床面積約37万坪に及ぶ5つの再開発を予定しています。開発にあたっては、「豊かな水辺の再生」を重点構想の一つとしており、親水空間と歩行者ネットワークの実現とともに、生物多様性にも貢献していく予定です。

将来の日本橋のイメージ

自然とのふれあい活動の場・機会の提供

リゾートホテル「NEMU RESORT」(三重県志摩市)では、専属のインタープリター(自然案内人)やガイドによる「バードウォッチング散策」や「ネイチャーツアー里山」などの自然体験プログラムを提供しています。また、「はいむるぶし」(沖縄県八重山郡)では、「園内ナイトツアー」やダイビング、スノーケルなどの自然体験プログラムを提供しています。

生物多様性に関する認証制度

晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業(都内最大級の複合開発となるHARUMI FLAG)において、生物多様性関連の認証制度であるABINCをはじめ、環境に関する4つの認証を取得しています。
https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/2018/1129/download/sumami/20181129.pdf

【生物多様性に関する認証ABINCについて】

自然と人との共生を企業活動において促進することを目的に作られた認証制度で、一般社団法人「企業と生物多様性イニシアティブ」が作成したガイドラインなどを基準として、企業における生物多様性に配慮した緑地づくりや管理利用などの取り組みを、一般社団法人「いきもの共生事業推進協議会(ABINC)」が評価・認証します。
https://www3.abinc.or.jp/
http://jbib.org/

生物多様性のリスク評価の実施状況

当社グループは、新規開発事業を行うに当たって、開発敷地内に保存・保全すべき樹木や樹林等の自然環境の有無を確認し、必要に応じて樹木や樹林等の保存・移植、保全等を行っています。また、自然地の多い地域の開発については、環境影響評価や自然保護等に係る法令・条例に基づき、動植物や生態系への環境影響評価を実施しています。